公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2002年度[第11期]
2002年5月26日/白峰 望岳苑

里山物語

今森光彦
今森 光彦(いまもり・みつひこ)/写真家。1954年滋賀生まれ。琵琶湖をのぞむアトリエを拠点に、周辺の自然や小さな生命と、そこに生きる人々との関わりを撮り続けている。『昆虫記』『里山の道』ほか作品多数。毎日出版文化賞、木村伊兵衛写真賞など受賞。
 27年前にインドネシアを旅したとき、そこにあるような風景や暮らしは日本では既に失われていると思った。だが帰国して、琵琶湖のほとりの村が持つ風景に偶然出会ったとき、本当に感動し、以来その場所を自分のフィールドと決めた。「人と自然との共存空間」という意味で「里山」というが、例えば雑木林は、人間が手入れをすることによって様々な生物が生きていくことができる。また人が何百年とかけて作ってきた田の畦や土手には、驚くほど緻密な生育環境が育まれている。画一的な整備事業によってそれらが一変する例もあるが、この日本の豊かな自然を残していきたいと強く思う。日本全国どこも置かれている状況は変わらない。つまり我々が抱えている問題は共通だ。だからこそ今日の交流を次につなげていきたいと思う。