公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2004年度[第13期]
2004年6月20日/白峰 望岳苑
アートの旅6

白山ろく民俗資料館を
訪ねて

真野響子・山口一男
真野響子/女優。1952年生まれ。ドラマ、映画、雑誌等様々な分野で活躍中。2002ワールドカップ日本組織委員会理事。金沢大学非常勤講師。

山口一男/石川県白山ろく民俗資料館館長。白峰村文化財保護審議会委員。
 日本中に美しい里山があり、それぞれが特色ある文化を持っている。そういう目で白山麓の文化を見るとき、ある指針となるのが白山ろく民俗資料館だ。白山麓、特に白峰村では水田耕作ができなかったことから、養蚕と焼畑を中心とした「出作り」といわれる生活形態が発達した。資料館には、稲作文化とは異なる、独特の生活文化を支えてきた数多くの民具が収蔵展示されており、人間が自然の恵みをいかに上手く利用してきたかがよくわかる。例えば樹木や植物の特性を巧みに利用する「知恵や感性」は、あたかも「人類が縄文時代に獲得した知恵を極限まで磨き上げた文化」が白山麓にあったのではなかったかと思わせるほどだ。また白山の登山口として中世から栄えてきた歴史や白山信仰、白峰村が天領であった時期のことも詳しく紹介され、なかでも冠婚葬祭を尊ぶ生き方や浄土真宗の「報恩講」に関するものは興味深い。さらに国の重要文化財をはじめとする6棟の民家からは独特な建築様式を学ぶことができる。博物館を充実させるのはスタッフであると同時に、実は来館者でもある。研究者でない一般の人たちが持つ視点や意見が物事を前進させる場合が往々にしてある。博物館を楽しみ、育ててほしい。