公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2006年度[第15期]
2006年6月18日/白峰 望岳苑

禅と茶のこころ

真野響子
真野響子/女優。1952年生まれ。ドラマ、映画、雑誌等様々な分野で活躍中。2002ワールドカップ日本組織委員会理事。金沢大学非常勤講師。
 浅川兄弟を知っているだろうか。伯教(のりたか)と巧。日本の支配下にあった朝鮮に渡り、朝鮮の文化を愛し、そのすばらしさを日本に紹介する役割を果たした。また柳宗悦に李朝白磁を伝え、のちの民芸運動のきっかけを作った。そんな男たちの足跡を尋ねて韓国を旅してきた。
  日本の焼き物の歴史をひもとけば、韓国につながる。有田焼の(陶祖といわれる)李参平に代表されるように、韓国の職人集団が日本の陶芸史上に残した功績は大きい。しかしその職人たちは秀吉によって強制的に連れてこられた、という事実も忘れてはならない。
  京都・相国寺の管長である有馬頼底氏と対談した。茶のこと、相国寺ゆかりの雪舟や若冲のこと、さまざまなことを伺った。その中で、自殺や犯罪の低年齢層化が止まらない現状に対し、死にたくなったり、人を殺したくなったりするとき、どうしたら良いのか有馬氏にぶつけてみた。答えは明快だった。「まず、自分のその心を殺しなさい」「そういうときは、周り(の人)が気がつかなくてはいけない」。自身の体験に基づく話の数々に深い感銘を受けた。 有馬氏や浅川兄弟のように知られざる達人たちがこの国にはたくさんいる。これからもそんな人々を紹介したい。