公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2008年度[第17期]
2008年9月20日/白峰 遊月山荘
女流義太夫演奏会

『三十三間堂棟木由来』

(浄瑠璃)竹本駒之助
(三味線)鶴澤寛也
(解説) 矢内賢二
(案内) 辻原登
浄瑠璃は別名、語り物という。浄瑠璃を表現するのに「歌う」とは言わず、必ず「語る」と言うのは、浄瑠璃が言葉を主役としており、いわば音楽と文学の間にあるような、言葉重視の芸能であるからだ。 伝説では、牛若丸と浄瑠璃姫の物語が浄瑠璃の起源と言われている。当時は、仏教や神道の布教のための物語だった。それが次第にエンターテイメント化され、洗練されていったのが義太夫節をはじめとする、今の浄瑠璃だ。 義太夫節が生まれたのは1680年代だ。創始者は竹本義太夫。彼が大阪・道頓堀で始めた竹本座の伝統が今も続いている。 語り物と言われるジャンルは、世界でも少ない。ヨーロッパの吟遊詩人、韓国のパンソリなどが有名だが、ただ、浄瑠璃のように非常にストーリーの凝った、節回しの複雑なドラマチックな語り物となるとこれはほとんど残っていない。そんななかで義太夫節は、江戸時代から「音曲(おんぎょく)の司(=トップ)」と称されたものだ。今日の演目(「三十三間堂棟木由来」)は、柳の精と人間との儚い物語だ。太夫と三味線の魔法にかかって、すばらしい浄瑠璃の世界を味わってほしい。