公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2001年度[第10期]
2001年4月28日/白峰 遊月山荘

俳句の楽しさ

鷹羽狩行
鷹羽狩行/1930年、山形県に生まれる。俳人。「狩」主宰。(社)俳人協会会長。山口誓子、秋元不死男に師事し、65年句集『誕生』で俳人協会賞受賞。74年『平遠』で芸術選奨文部大臣新人賞。99年文化関係者文部大臣表彰、2002年毎日芸術賞受賞。
 古典から現代までの20作品を鑑賞し、「俳句の流れ」を紹介したい。芭蕉の新しさは、目を引くようなものがないところへ目を向けさせ、「深い感動」を呼び起こす、そういう今日の俳句の形を作ったところにある。芭蕉の「わび」の世界に新たな展開をもたらしたのは蕪村の「絵画性、物語性」であり、一茶の「社会性」であろう。また明治になって子規が唱えた「写生」の精神を虚子が受け継ぐが、次第に人間の感覚や感情に訴える句が現れてくる。秋桜子は「大自然」を「芸術家の眼」を持って表現し、誓子は「都会」へ目をむけた。以後、優れた俳人達によって、時代を反映した様々な内容が17字の中に収められていく。優れた俳句は現代性と永遠性を兼ね備える。名句を味わい客観的な価値を身につけて欲しい。