■2001年度[第10期]
2001年9月28日/白峰 望岳苑
観月の宴
新内鑑賞
富士松小照
富士松 小照/新内演奏家。東京下町本所に生まれ、9才のとき富士松加賀照に出会い新内を始める。その後鶴賀朝太夫のもとで修行。昭和50年よりリサイタル「富士松小照の会」を意欲的に続け、これまでに61回を数える。文楽義太夫との掛合いや文楽人形との共演、歌舞伎俳優、舞踏家との舞台も多い。
曲目
「広重八景」
富士松小照の師鶴賀朝太夫作曲。作詞は永井啓夫。「東雲や通り神楽に明けそめて」から「幾広重と巻き納め江戸八景ぞめでたけれ」と語り納める御祝儀曲。白峰村セミナハウス「望岳苑」完成へのお祝い演奏。美しい詞章と新内らしい旋律が響きわたった。「明烏夢泡雪」
蘭蝶(若木仇名草)と共に新内の双璧となる代表曲。明和六年の伊勢屋養子伊之助と吉原の遊女三好野の実在の心中事件を浄瑠璃にしたものである。
“たとえこの身は泡雪と共に消ゆるも厭わぬが、この世の名残 今一度、逢いたい見たいとしゃくりあげ、狂気の如く心も乱れ、涙の雨に雪とけて 前後正体なかりけり”。