公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2001年度[第10期]
2001年9月29日/ 福井県大野市 大野市美術館

小さな町の大きな変化
越中八尾について

高橋治
高橋 治/(財)白山麓僻村塾理事長。小説家。元映画監督。金沢四高、東大文学部卒業後、松竹で映画監督としてヌーベルバーグ開花期を形成。その後作家に転身。『秘伝』直木賞、『別れて後の恋歌』柴田錬三郎賞、『星の衣』吉川英治文学賞。ほか作品多数。
 富山県八尾町「おわら風の盆」。そこへ行くと人々が三百年の伝統をしっかりと受け止めていることがよくわかる。この町には伝統も文化も「自分たちが担う」という誇りがあり、最近ではその二つをこれから「自分たちが作る」という気概が生まれてきている。その一つが、諏訪町の容貌の変化である。日一日と綺麗になる町並みには驚くばかりだ。 現在の日本にはこびる「同一化現象」には終止符をうちたい。他と同じ事はやらないという姿勢なしに、新しいことは生まれない。それには自分たちが何を欲しているか、そしてそれが「三百年の時間に耐えられるかどうか」という発想を持たないといけない。石川県吉野谷村で生まれた民謡が十年たった。三百年への着実な歩みを見守りたい。