公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2011年度[第20期]
2011年9月3日/白峰 望岳苑
朗読

『紺青の鈴』

青木裕子
青木裕子 /朗読家。元NHKアナウンサー。NHKではニュース番組のキャスターを務めたほか「ラジオ深夜便」などで朗読番組の制作・朗読を行った。著書に『再婚トランプ』。
高橋治先生の長編小説『紺青の鈴』を今日、初めて披露する。今朝まで、どう朗読すべきか、迷いに迷った。長編を短くするとき、ストーリーだけを追うと流れはわかるが、面白みがない。印象的な部分を抜粋し、部分だけを読むと物語としての楽しみが削がれる。特にこの小説は緻密に書き込んであるからストーリーを追うのも難しい。ただ、高橋先生の文章は、短い数行を読んでも全体を見渡せるような、何かが組まれている。ならば、短く抜き出した文章をつなげて、皆さんにお届けしたいと覚悟を決めた。小説を短くするときに、自分で手を加えることは一切ない。小説をカットし、それを純粋に繋げていく作業が朗読の台本づくりだ。ただ、今回は話の展開をわかりやすくするために途中、2箇所のダイジェストを設ける。
 この小説には美しい方言が使われている。そのアクセントが難しく、自己流のものになるがお許し願いたい。方言は文化遺産であり、標準語を推進してきた放送局も近年、その大切さに気がつきはじめている。高橋作品は地域と人間が織り成す素晴らしい布地のようだ。この作品をずっと読み続けていきたい。